本殿、拝殿より僅かに新しい1673年に造営され、拝殿より一段下段に建てられ、神楽殿のみの郭になります。
桁行二間、梁間一間で高床の舞台で東側に石段が設けられています。
入母屋造妻入の屋根で、拝殿と同じように檜皮葺でしたが拝殿と同時に銅板葺に変えられました。
広島県指定文化財に指定されています。
廻りの石垣や石灯篭、植栽などの緑ともあいまって非常に美しい表情をしています。
8月の胡祭りには、毎年神楽が奉納され周りを多くの参拝者が取り囲み普段とは異なる表情も見せてくれます。
神楽殿の下には石製や木製が入り乱れた支え柱が数多くあり、床を補強してあります。
神楽で飛んだり跳ねたりするため、補強材が必要だったのでしょう。
神楽殿は能楽堂などと異なり真ん中に寄るほど、撓んで下がる設計になっているそうです。
それは中心ほど沈みやすく、撓めば舞うときに中心からズレても自然と中心に戻ってくるということらしいのです。
備後神楽の特徴でキリキリ舞と言われ、目いっぱい回転します。
そのためこのような神楽殿が必要だったのでしょう。
また、飛んだり跳ねたりする際もクッションとなり疲れにくいといった効果もあるようです。
ここ吉備津神社の神楽殿も桟と床板の間に隙があり1寸2分の床板が撓んだ後で、桟が受け止める構造になっています。