慶安元年(1648年)、備後福山藩に封入した水野勝成により造営されました。
桁行七間、梁間四間で屋根は入母屋造檜皮葺です。
本殿正面は千鳥破風と唐破風が組み合わさった軒唐破風構造となっており、唐破風の角度も深いものとなっています。
現在、国の重要文化財に指定されています。
使用材木はアスナロで比較的容易に大木が入手できたためと思われます。
また、正面回廊の上には、「虎睡山」という大きな山号(さんごう)が掛かっおり神社としては非常に珍しいものです。
写真を見てもわかる通り、これだけの規模を有しながら、本殿屋根に千木・鰹木がないのも大きな特徴です。
ゆえに、他の神社建築にない独特の美しさを造り出しています。
通常神社は、本殿が単独で建っている例は少ないのですが、備後一宮 吉備津神社は、拝殿、幣殿などが連結されておらず、だれでも直接本殿前でお詣りできます。
一段下の段に拝殿は独立してあるものの神事や祈祷なども本殿内で行われています。
身分を問わず誰にでも一宮(いっきゅう)さんの愛称で親しまれる神社であるのは、このような神社構造も影響しているのかもしれません。
本殿は真東より僅か南を向けて建てられています。
春分と秋分の日に、朝日が拝殿の屋根を超えた後の数分間だけ、ご神体の鏡に朝日が反射し、実際に見た方は何とも言えぬ神々さに感動を覚えることでしょう。
一般に根強い太陽信仰を意識し建築されたものと言えます。